英語を話す100のヒント

2012/11/19
英語力をつけるMy English Dictionary
  • 松山大学大学院
  • 言語コミュニケーション研究科長
金森強教授

記憶に残る自分だけの辞書を作ろう!

英語の受信はできても発信につながらなければ、達成感は得られにくい。

 

そこで私は、リーディング用の教材で出会った語句を利用して、学生自身が自分の言葉として英文を作る宿題をだすようにしている。作った例文を蓄えていくと、学生自身の My Dictionary ができあがる。自分のためだけの例文作りを求めることで、当然、普段から内容と発信を意識した学習が始まることになる。

 

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自分が同じような内容を英語で言う機会はないか、使えそうな表現がないかを意識したり、たとえば動詞であれば、前置詞は必要なのか、必要ならどの前置詞になるのかなどコロケーションや文法事項を意識することにもつながる。また、場面や話者・相手が設定されることで、作った英文を記憶しやすくなる。慣れるまでは宿題を終わらせるのに時間がかかるが、自分のアイディアを英語で表す活動は楽しいものである。

 

学期の終わりに、できあがった My Dictionary を提出してもらい(「我的最重要英語例文100」の完成を目指す!)、評価の対象とする。最初はやらされている感が強くても、次第に楽しみながら取り組むようになってくる。作った例文を友達と見せあっている学生もいる。

 

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毎日楽しみながら続けると、徐々に発信力がつくようになる。学生の中には、授業や単位に関係なく、自分の英語学習の方法としてMy English Dictionary 作成を継続してくれているものもいる。やはり楽しく学ばない限り英語はマスターできない。外国語をマスターするには時間と努力が必要なのである。

 

以下は、テキストの語句(下線)を活用して学生が書いた1行英文の例である。習った語句を使って、楽しみながら自分のアイディアを表現してくれている。

 

 

I’m positive that Norika is more beautiful than Ebichan.


・Mr. K is too young to have a bald hair.


・That’s incredible. It’s 36℃ today. Japan is in the tropical zone now.


According to rumors, professor K wears a wig.


I wish I could see Kitaro’s mother just once.


If I am reincarnated, I want to be a dolphin.


・Can’t you recognize this tattoo on my back?

 

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英語力をつけたい人には、この My English Dictionary の作成をおすすめしたい。例文には自分の知り合いや有名人、誰でも登場させることが可能である(ただし、くれぐれも人(当人?)には読まれないように)。

 

一朝一夕では英語力はつかない。しかし、ポイントをおさえることで、英語学習は英語「楽習」となり、そのことが英語力育成のスピードを上げることにもつながるはずである。できるところからぜひ取り入れてみてほしい。

金森 強
松山大学大学院 言語コミュニケーション研究科長・教授
専門:英語音声教育/中央教育審議会外国語専門部会委員、日本英語音声学会理事、小学校英語教育学会理事、日本児童英語教育学会理事。文部科学省検定教科書/中学校英語「One World](教育出版)著者。著書:『英語力幻想―子どもが変わる英語の教え方』(アルク)/『小学校の英語教育~指導者に求められる理論と実践』(教育出版・編著)/『ハリー博士の英語リスニング特訓教室』(アルク)他多数。
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