英語を話す100のヒント

2012/11/20
英語の検定オタクは英語力が伸びる!
  • 松山大学大学院
  • 言語コミュニケーション研究科長
金森強教授

英語力アップを数値化しよう!

あるサッカーの名門校では、入部してきた際、選手の運動能力(100メートル走、握力、背筋力等)と体の大きさ(胸囲、腕の大きさ、大腿部の大きさ等)を計測し、それが半年後、1年後とどのように変容しているかを本人に渡すという。つまり、自分の体の成長や筋力の伸びを数字で明確に示されることで、選手が自分自身に自信がもてるようになると同時に、練習の成果を知ることができ、更なる厳しいトレーニングにチャレンジできるようになるというのである。逆に、いくらやっても結果がでない練習なら、やりたくなるはずもない。

 

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英語の学びにおいても同じことが言えるだろう。自分の実力や伸びが、目で見えることがやる気につながり、さらなる伸びにつながるのである。その「ものさし」として、いわゆる「英語の試験」を活用することが考えられる。

 

 

成果を求められる英語

今や大学では、カリキュラムの中に検定試験対策の授業があるのは当たり前の時代になっている。社会のニーズに応えるのが大学の役割であり、特に英語に関しては、他の教科に比べて、最もその成果(Learning Outcome)を求められているといってもいいだろう。

 

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学習成果の分析は、教育プログラムを省察するためだけではなく、学習者の学びの過程を記録し、そのプロセスを学習者に知らせることで更なる学習への動機づけになるように利用し、指導の一貫としての機能を果たすのが理想である。ただし、実際にはなかなか大変な作業でもある。雑務に忙殺される教員だけでは、莫大な学習記録を取り、整理するようなことはできそうもない。そのためのスタッフが必要である。

 

英語検定試験オタクのすすめ

私のゼミの学生には、私自身の個人研究の一環として、英語力を測る外部の試験を受験してもらっている。また、そのための対策としてWBT教材を与え、各自が授業以外に自分で時間を作って受験対策に取り組むことにしている。

 

その結果、他の学生に比べると、私のゼミの学生の英語力は随分と高くなっている。英語に触れる時間を増やすだけのことなのだが、やはり結果に如実に現れる。また、学生にはその結果をグラフにして他の学生との差が分かるように示している。そうするだけで、学習意欲を高める効果があるのである。

 

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何も目標がなければ、努力もしなくなる。巷には多くの英語の試験がある。検定試験や英語運用能力試験を、更なる学びの動機づけとして考え、チャレンジしてみてもよいかもしれない。

 

自分に厳しくなるためにも「検定試験オタク」になってみてはどうだろうか。もちろんそれだけで総合的な英語力がつくわけではないが、学ぶ習慣が身につくことの意義は大きい。私の知る限り、リスニング力やスピーキング力が伸びている学生は、学習の習慣がついている者がほとんどである。

金森 強
松山大学大学院 言語コミュニケーション研究科長・教授
専門:英語音声教育/中央教育審議会外国語専門部会委員、日本英語音声学会理事、小学校英語教育学会理事、日本児童英語教育学会理事。文部科学省検定教科書/中学校英語「One World](教育出版)著者。著書:『英語力幻想―子どもが変わる英語の教え方』(アルク)/『小学校の英語教育~指導者に求められる理論と実践』(教育出版・編著)/『ハリー博士の英語リスニング特訓教室』(アルク)他多数。
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