御園博士に英会話学習のポイントを教えて頂きました。

「30日間英語脳育成プログラム」は、言語学博士の御園和夫先生の学習理論に基づいています。そこで、教材を完全監修された御園博士に、改めて英会話を身につけるために必要な学習のポイントを伺います。

英語は耳から始め、耳で仕上げる

青木
「30日間英語脳育成プログラム」は"ナチュラルスピードの英語をくり返し聴く"ということが基本となっています。「英語上達は耳から」について、どうお考えですか?
御園博士
「英会話」とは、英語でコミュニケーションをとる、ということです。それには、相手が何を言っているのか分からないといけません。日常会話では、私たちは音で相手の意思を理解しています。つまり音声で全ての意味を理解し、伝える練習が必要なのです。
青木
残念ながら日本の英語教育では、ネイティブの発音を聴き取ることができません。
御園博士
たとえば、ネイティブが「お茶を1杯どうぞ。」Have a cup of tea.と言います。これを音声にすると、「ハヴァカッパティー」と聴こえます。英語ではHaveのveやofなどが、次の音と結びつくためです。英語には日本語と違って、高低のアクセントの他に、強弱のアクセントがあります。だから、このように聴こえない音、隠れる音があるのです。
青木
そういうことを理解するためにも、まずはくり返し聴くことが大切ですね。
御園博士
そうです。でも、ただ"聞き"流していてはだめです。"聴き"取って覚えていくには、聴くことに集中する必要があります。そして、そのときに聴くのは、ナチュラルスピードの日常会話であること。ナチュラルスピードの音声を、何度もくり返し聴くことが重要です。
青木
そして60%程度聴き取ることができたら、今度は目で確認してみる。
御園博士
文字で見ると、a cup of teaと書いてありますから「ああ、そうか」と理解するでしょう。「音と文字のズレ」をここで修正するのです。すると次に聴いた時に「カッパティー」が出てきても、わかるようになります。単に英語を聴き続けているだけではダメだというのは、このように英語は単語の切れ目が重要だからです。この切れ目を把握しておかないと、いくら聴き続けても理解できません。
青木
「聴くだけではなく、目で確認する」をくり返すことで、自分の中に英語がインプットされていくわけですね。
御園博士
注意したいのは、この後にさらにもう一度「聴く」ことです。英語は「耳から始め、耳で仕上げる」、これが大切です。よく、聴いてわからなくて、テキストを見て納得して終わる人がいますが、これも上達できないパターンです。文字で理解した後にもう一度聴き、「そういうことを言っていたのか」と確認することが大事。そうすることで、今度は「見えない文字が聴こえる」「聴こえなかった音が聴こえる」ということがあるのです。

リスニングは、網の目の粗いザルのようなものです。最初はなかなか水がすくえませんが、リスニングを続けることで、だんだん網の目が細かくなって水がすくえるようになる=英語が聴き取れるようになるのです。

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通じる発音を身につけるには「音」+「意識」

青木
インプットしたら次はアウトプット「話す」ことですが、「正しく」声を出すには、発音の練習が必要です。
御園博士
英米人並みの発音である必要はありませんが、コミュニケーションの道具として通じる発音であることは必要ですね。たとえば、cab「タクシー」とcap「帽子」の違いは、多くの人が語尾の「ブ」(b)と「プ」(p)だと思っています。しかし、ネイティブの発音では、どちらも同じ「キャッ…」に聴こえます。「cab」の方が多少「キャッ」の音が長い程度の差です。逆に日本人のように「キャブ」と平坦に発音すると、通じない場合が多いでしょう。通じる発音というのは、その音にしないと意味が通じなかったり、違う意味になってしまうというところを意識することが大切です。
御園博士
青木
英語ではアクセント、イントネーションも大切ですね。 I beg your pardon? 「もう一度言っていただけますか?」 I beg your pardon. 「どうもすみません。」のように、 末尾を上げるか下げるかで意味が変わってしまうこともよくあります。
御園博士
この2つの違いを学生に聞くと、「最後にクエスチョンマークがついているほうが『もう一度言っていただけますか』で、最後がピリオドなのが『どうもすみません』です」なんていう答えがよく返ってきます。実はこれが今までの文字中心の英語の勉強の仕方なのです。

そうではなく、本来はまず「I beg your pardon」という【音】があるだけなのです。この音を下げて言っているから、「すみません」の意味になるだけで、それを文字として書けば、最後にピリオドが付くというだけのこと。同じ音でも上げて言っているから、「もう一度言ってください」という意味だと理解でき、それを文字にすると最後にクエスチョンマークが付くということなのです。そういう意識を持って、耳で聴いた【音】を忠実に把握していくことが、英語を理解することの大きな力になるのです。発音は理屈なのです。

青木
音や気持ちを文字にする場合に、どのように表すかということですね。クエスチョンマークは、今の若い子が使う顔文字と同じようなもの。笑っているのか怒っているのかの感情を文章で表すための手段として、記号を使ったということですね。
御園博士
そうです。常に音が先にあって、書いた結果がこれ、なのです。そういうところを理解していくことで、英語の限界を取り払う正しい英語の学び方までも見えてくるはずです。
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会話の英文法は「聴順直脳訳」

青木
御園博士
音声の聴き取り以外で英語ができる条件は、1つは単語がわかる、もう1つはその単語の配列がわかることです。配列とは文法です。難しい文法は必要ありません。日常会話なら中学3年~高校2年生程度の文法で十分です。それともう1つ、英語を理解するときは、文頭からそのまま理解していくやり方を身につけることが必要です。
青木
聴順直脳訳ですね。音は発声された瞬間に消えてなくなりますから、聴こえてきた順に理解していく必要があります。学校で習ったように文末から訳すことなど、暗記でもしない限り無理です。
御園博士
I love you. という言葉があるでしょう。これを「私はあなたのことを愛しています」と訳すのは、ハッキリ言って誤訳です。見つめ合い、両者の目からまさに火花が飛び散るかの瞬間です。「私は → (文末へ)あなたのことを → (戻って)愛しています。」なんて悠長に言っている状況ではありません(笑)。「私が好きなのはあなたよ。」「俺が愛しているのは君だ。」が正解でしょう。これが、聴こえてきた順、話された順に英語を理解すること=聴順直脳訳です。
青木
やり方を覚え、実際に音声を聴きながら練習すると、ナチュラルスピードの会話も、早く・正確に意味が分かるようになります。やはり基本は音なのですね。
御園博士
英語が話せるようになりたいという大人の初心者の方たちは、音声を中心に学んでいけば、40代50代でも、もちろんまだまだ英会話は上達します。あとは、しっかり続けること。継続は力なり。To go on is to go up. 皆さん頑張ってください。