英会話上達のコツ

2008/05/28
英語の人称

・「ねえ!僕と一緒にドライヴでも行かない?」

・「いやよ!あなたと行っても面白くないもん」

・「そんなに俺って嫌われているの?」

 

まるで若かりし日のモモスケを見ているようですが、これってどこででも耳にしそうなセリフです。

 

でもよく見ると(かなり意図的ですが)2つの1人称を使い分けて作文してあるのがわかると思います。最初が「僕」、次が「俺」。

 

下心を悟られないよう最初は優しく「僕」を使いましたが、こりゃデートの確率は低いと分かると、普段のコトバ「俺」が出てきたという設定。日本語ならよくあるパターンです。

 

 

自分を指す言葉を「1人称」と言い、日本語には様々な1人称表現、例えば「私」「僕」「俺」「小生」「ワシ」「拙者」「おいら」「わい」などがあります。

 

なぜ日本には、自分を表現する言葉がこれほどたくさんあるのかといえば、どうやら日本では、自分を何と呼ぶかを使い分けることによって、自分と相手との関係性を表現することが多く、このために様々な言葉が作られたという説が有力なようです。

 

 

 

 

例えば職場の上司に対しては

 

「私は、○○が原因だと考えます。」って感じで「私」を使いますが、同一人物が会社帰りに寄った居酒屋で、同僚に対しては「俺は部長の言ってることがわからねー!」と「俺」に変わります。上司に対しての「自分」は、相手と距離を置き、謙虚で礼儀正しく、常識のある社会人としての「自分」なので「私」、同僚に対しての「自分」は心を許した近い存在で、親しみと仲間意識を感じている「自分」なので、「俺」を使う、というわけです。あなたもそうですよね?

 

一方、英語での1人称は「I」があるのみ。上司に対しても、同僚に対しても「自分」は「I」です。

 

その理由を様々調べてみたら、こんな意見が見つかりました。

 

欧米的発想と日本的発想の違いで、全てにおいて「個」の力を尊重する欧米では、相手が誰であっても「I」を使う。しかし人間関係を重視し、個人よりも相手との関係性を重んじる日本では、「自分」を様々変えることで、組織に自分を順応させる。

 

なるほどですね~。確かに言われてみるとそうかもしれません。

 

本題から外れるのですが、ちょっと気になったので調べてみたところ、中国語の1人称は、方言などは様々あるようですが、基本は「我」だけのようです。韓国では「チョ」と言うそうで、時々「ナ」を使うとか。アジアだって1人称が少ない国もあるようです。中国や韓国は欧米並みに「個」の力を重視しているのでしょうか?日本だけが「個」よりも「関係性」を重視しているのでしょうか?ちょっと疑問です。ちょっと本題から外れましね。

 

さて英語での「1人称」は「I」だけ、ということですが、こんな意見もありました。

 

英語では必ず主語が必要であり、いかなる場合でも「I」とか「You」といったような人称代名詞を使う必要がある、だから人称は一つ。しかし日本語では必ずしも主語を使わなくても文章が作れるので、人称がたくさん存在する。

 

英語)  I used to be a heavy smoker.

日本語) 以前はヘビースモーカーだったんだ。

 

この例を見ても分かるように、確かに日本語では主語を省いた会話が当たり前で、主語は重視しません。1人称や2人称の際は、それが誰だか特定できるので、省略が頻繁におこります。

 

 

理由はともあれ、日本語の1人称が多く、英語での1人称は「I」だけなのは確かです。2人称も基本はそうですね。

 

「あなた」「君」「あんた」「お前」「お宅」など日本語では様々ありますが、英語での基本は「You」です。(Honey♪なんて呼んだりしますが、あくまで基本の話しとして)

 

なので英語では何でもかんでも自分のことは「I」、あなたのことは基本「You」と呼ぶ、これで話しはすんなり進みます。

 

そう考えると英語のほうがずっと簡単です。相手との関係性など考えることなく、ただ必ず主語を入れることを忘れずに「I」から始めれば問題無いわけです。相手が上司でも同僚でも大統領でも、自分のことは「I」でいいんですから。

 

一方その逆に、英文を日本語に訳す翻訳家の人たちは大変です。日本的発想で二人の関係性を考えながら、1人称を工夫する必要があるのですから。

 

I love you. を、「僕が愛しているのは君だよ。」 とも日本語で表現できるし、「俺が愛しているのはお前だ。」 とも言うことが出来るのです。王子様と海賊のセリフくらいにニュアンスが違います。よね?

 

I'm Gian.   は、「私はジャイアンです」ではありません。「俺様はジャイアンだ」が正解。

 

英語と日本語は異なる言語ですから、こんなところの違いにも気を留めておくのも、上達のコツかもしれません。

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